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預言者として活動する以前の彼の 生活について

作者: M.F.ギュレン オン . で掲示される 第1章 全ての世界に恵みとして送られた御使い

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信頼のおける人

預言者ムハンマドの子供時代、若者時代、そして壮年期は皆、預言者として活動するための礎石であり、到達するための階段のようなものであった。だからこそ、彼を知る者は皆、彼が神の言葉を伝え始めるや否や彼を信じ、従ったのである。

預言者は人生において一度も嘘をつかなかった。そのようなお方が、アッラーについて語り、自分が預言者であることを述べられたのである。どんな小さなことについてさえ、偽りを述べなかった人が、これほど大きく重大な問題について嘘がつけるだろうか[1]。不可能なことである。当時の人々はこのように考えたのだ。全員ではなかったとはいえ、意地や羨望にとらわれなかった人は皆すぐに、信仰し始めた。彼が生きた時代は「ジャーヒリーヤ」無明時代であった。しかし預言者自身はジャーヒリーヤに似つかわしくない生き方をしていた。信頼できる人であられた。皆そのように評価していた。例えば、旅に出なければならないとき、妻をどこかに預けなければならないとしたら、全く心配することなく預言者ムハンマドに預けることができるだろう。戻ってくるまで、彼女をちらっとでも見ないであろうということが全く何の疑いもなく、信じられるからである。あるいは、財産を誰かに預けなければならないときも、安心して彼に預けられるだろう。

預言者としての初期の時代に、預言者ムハンマドはクライシュ族の人々と共に、アブ・クダイシュの丘で集っていた時、彼らに尋ねた。「この丘の向こうに、敵が我々を攻撃するべく待ち構えているといったら、皆さんは信じますか」

皆、「信じます」と答えた。彼にとって最も手ごわい敵となる、彼のおじのアブー・ラハブでさえ、そう答えたのだった。[2]

預言者はまだ母の胎内にいる時に、父を失なわれた。5~6歳のとき、母をも失なわれた。祖父のアブドゥルムッタリブに引き取られたが、8歳になった頃には祖父も世を去った。このお方はその全ての信託を神に置いて、そして完全に神にご自分自身をゆだねなければならなかった。父親の死によって、アッラーは全ての人間からのサポートを取り除くと共に、アッラーの他には彼には全くパートナーがいないのだという認識をこのお方に与えた。祖父やおじの保護をある程度は受けることができたが、御自身の本当の保護者がアッラーであることは認識されておられた。。全ての現象の背後に、そして全ての出来事やその結果に、全世界の唯一の創造主を知ることがおできになったのである。

孤児としてお育ちになった

ムハンマドは孤児としてお育ちになった。孤児であるということがどういうものか知っていたからこそ、慈愛溢れる父親のように振る舞われた。貧しさを味わわれたからこそ、支配下の人々の状態を配慮し、それにより振る舞われた。預言者の道徳心のなかでも、孤児と貧者に手を差し伸べ、彼らに目をかけるという心は、預言者自身が育った環境にはぐくまれたものである。

「かれは孤児のあなたを見つけられ、庇護なされたではないか。かれはさ迷っていたあなたを見つけて、導きを与え、また貧しいあなたを見つけて、裕福にされたではないか。だから孤児をげてはならない。請う者をね付けてはならない」(朝章93/5~6、8~10)

このお方は父を失うだけではなく、早い年齢において母をも失われた。マディーナにある父親の墓を訪れた帰りにアブワの村で、25歳か26歳でなくなった。預言者はたったの6歳であられた。このお方は父親、母親なしで残される痛みを学んだ。人々に全てを教え、又あらゆる面で手本となるために、まず御自身が何もかも経験しなければならなかったのである。

祖父のもとで

預言者ムハンマドが両親を失った時、その祖父でマッカで尊敬されている年長者のアブドゥル・ムッタリブが預言者を守った。そのため、アッラーはこの祖父をあらゆる不幸から守った。彼は最愛の孫を抱きしめ、いつでも彼の家で名誉ある席につかせた。彼は孫が人々を救うべく成長するだろうと感じていた。預言者ムハンマドはそれほどまでに気高く礼儀正しかった。一族の祖先であるカーブ・イブヌ・ルアッユに(一部の人によって彼も預言者だったというふうに考えられているが )最後の預言者が自分の子孫から現れるであろうことを予測していた。彼は名指しで言及していた。

「突然、預言者ムハンマドは現れるであろう。

彼は便りをもたらし、そして彼の便りは真実である」

預言者ムハンマドの高潔なる祖父は、アブラハの偉大な軍隊でさえ涙を流させることはできない人物であったが、臨終のときひどく涙を流した。息子のアブー・ターリブが理由を尋ねると、こう答えが返ってきた。「私はもうムハンマドを抱きしめられないだろうから泣いているのだ」。彼は付け加えた。「何かがムハンマドの身の上に起こるかもしれないと恐れて泣いているのだ。お前にあの子を託す」

叔父アブー・ターリブの庇護

アブー・ターリブは約束に従った。預言者ムハンマドを40年近くし、援助した。彼のこの善行は、そのままにはされなかった。アッラーは、彼にアリーのような子を授けられた。預言者たちの子孫は皆彼ら自身からなるものだが、預言者ムハンマドの子孫はこのアリーから続いている。アリーは全ての聖人の中で最も偉大で、最後の日が来るまでその代表とされている。これは、預言者ムハンマドを助けたことに対してアブー・ターリブに与えられた報酬である。

 


[1] Bukhari, Bed'ul'-Vahy 3
[2] 18 Bukhari, Tafsir 1/111; 2/26; Muslim Iman 355