預言者はこの世と来世との均衡を確立された

預言者たちは、この世とあの世の間にバランスを確立するために、遣わされた。当時の修道士たちは、他とは切り離され、孤立した生活を送っていた。また一部の者は、贅沢三昧な暮らしにおぼれていた。そのようなときに、預言者ムハンマドは遣わされたのである。

「アッラーがあなたに与えられたもので、来世の住まいを追い求め、この世におけるあなたの(務むべき)部分を忘れてはなりません。そしてアッラーがあなたによいものを与えられているように、あなたも善行をなし、地上において悪事に励んではなりません。本当にアッラーは、悪事を行なう者をお好みになりません」(物語章28/77)

全ての預言者は、このバランスを確立するために現れた。物質的生活と精神的生活の間のバランス、理屈と魂の間のバランス、この世とあの世の間のバランス、そして道楽と節制の間のバランスである。

「あなたの主の恩恵を述べ伝えるが良い」(朝章94/11)

「その日あなた方は、うつつを抜かしていた享楽について、必ず問われるであろう」(蓄積章102/8)

我々はアッラーから与えられたものに感謝すべきであり、その一方で、我々が楽しんだことについても、必ず問われることを忘れてはいけないのである。

このような教えは、預言者によって彼の仲間たちの心に深く浸透していた。例えるなら、最初のカリフであるアブー・バクルは、断食月のある日、断食を終えて一杯の冷たい水を渡された。それを飲み始めた時、彼は急に涙を流し始め、飲むのをやめた。その理由を尋ねられると、彼は答えた。

「かつて私はある時、預言者ムハンマドと共にいた。彼は手で何かを押しているような動作をし『私から距離をおきなさい』と言っていた。私は

『預言者よ、あなたは何かを遠ざけておられるようですが、私には見えません』と言った。預言者ムハンマドは答えて言われた。

『この世界が理想的な姿となって現れ、その華麗で贅沢な手を私に差し伸べたのだ。私は私に構うな、あなたは私を誘惑できないと言った。それは戻っていったが、あなたを征服することはできなくてもあなたの後の人々を夢中にしてみせると誓って見せた』今、私は断食を終える時、この一杯の水でこの世が私を魅惑したのではないかと畏れたから泣いたのだ」

アブー・バクルや預言者の教友の多くが、快適に生きることもできたのにも関わらずに、バランスをとれた生活を送ったのである。

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